私は30歳で初めて介護チームのリーダーとなり、その数年後からは管理職として、どちらかといえば組織を取りまとめる役を勤めてきました。
もうすぐ39歳になろうとしているので、約9年間、組織マネジメントというものに携わってきたことになります。
その中で、多くの試行錯誤と失敗を経験しながら、「組織が成果を出しやすい環境には一定の法則がある」と確信するに至ったのです。
私のように遠回りしてこの結論に辿り着く必要はありません。ぜひ多くの介護リーダーたちに、私の考えを参考にして、最短距離で「成果のだせるチーム」づくりを実践ほしいと思い、キーボードを叩いています。
今回は「人と仕組みの両輪で回そう」というテーマで話を進めていこうと思っています。
仕組みづくりだけでは組織は回らない
先に、結論から申し上げておきます。
私は、組織を円滑に機能させるためには、「ワークマネジメント(業務の仕組み化)」と「ピープルマネジメント(人の成長と関係性)」を両輪で回すことが不可欠だと考えています。
組織マネジメントと聞くと、多くの人が「理念の浸透」「ビジョンの共有」「人事評価制度の整備」「業務マニュアルの作成」「DXやICTの導入」など、組織の仕組みを整えることに目を向けるのではないでしょうか。
確かに、効率的に仕事を進めるための制度やツールの活用は重要であり、働きやすさを向上させ、結果的に職員のモチベーションにも影響を与えます。
しかし、これらの施策だけでは、組織は決してうまく機能しません。なぜなら、どんなに優れた仕組みがあっても、それを活用するのは「人」だからです。
例えば、介護施設でインカムを導入したとします。これは、スタッフ間の迅速な情報共有を可能にし、夜勤業務の負担軽減や、緊急時の対応をスムーズにする優れたツール(仕組み)です。
しかし、もしスタッフ同士の人間関係が希薄で、「あの人を呼んでも無駄だから」「あの人とは話したくない」といった理由でインカムが活用されなかったらどうなるでしょうか。結局、導入したツールは機能せず、組織としてのパフォーマンスも向上しません。
つまり、組織を動かす「仕組み」は必要ですが、それを支える土台の「人間関係」がなければ、どんなに優れた制度やツールも活かされないのです。
ピープルマネジメントの重要性
では、どうすれば「ピープルマネジメント」を強化し、組織の土台を築くことができるのでしょうか。
ここで大切なのは、「人を大切にする文化」を組織の中に根付かせることです。そのための具体的な手段として、私は「人としての振る舞いや関わり方」を評価基準に組み込むことを推奨したいと考えています。
例えば、次のような行動を評価の対象とします。
- 目を見て挨拶をしているか?
- 相手の意見を否定せず、受け止めているか?
- 失敗した職員を責めるのではなく、成長の機会として捉えているか?
- 挑戦する職員を応援しているか?
これらの評価項目を明確にし、組織全体で共有することで、「どのような姿勢が求められているのか」を意識するようになります。そして、最初は形式的であっても、このような行動を習慣化させることが、最終的には組織の文化を形成することにつながります。
組織において最も避けるべきなのは、「陰口・愚痴・不満が蔓延する環境」です。こうした負の要素は、言葉にすればするほど増殖し、組織全体の空気を悪化させます。もちろん、内心でどう思うかは個人の自由です。しかし、少なくとも「組織の中でどのような言動を取るか」は教育し、管理する必要があります。
組織を変える第一歩
ピープルマネジメントを強化するために、組織のトップがやるべきことは、「仲間を大切にする文化」を率先して示し、評価の仕組みに組み込むことです。
具体的には、次のような取り組みが有効でしょう。
- まずは、トップ自らが職員との関係性を築く
- 評価制度に「人間関係を尊重する行動」を組み込む
- 組織全体にその意識を浸透させる
「仕事の仕組みづくり」と「人の関係性づくり」、この両輪をバランスよく回すことが、組織マネジメントの本質です。
片方の車輪だけでは、車は大きく弧を描いて、もとの位置に戻って来てしまいます。これはチームも同じことです。
そして、一度まっすぐ進み始めた車も、時折メンテナンスをしなければ、やはり道半ばで故障してしまいます。
だから評価制度にするんです。いつでも振り返られるように。リーダー自身も、自分を振り返れるように。
組織の成長に悩むすべてのリーダーに、まず、この考え方を届けたいと思います。
